フランスの小学校ではタブレットをこう使う!フランスのIT教育事情

週に2回、フランスの現地小学校の放課後を空き教室で保護者向けのフランス語の授業を受けています。授業では、フランス語を学びながらフランスの文化や学校教育のことを学ぶことができます。そのなかで、フランスの学校教育でITをどのように取り入れているか垣間見る機会がありました。

今回はフランスの小学校でITを教育にどう取り入れているかをご紹介します。

目次

フランスの教育現場で使われるアプリたち

ある日、フランス語の先生が「今日は面白いものを見せてあげる」と言って小学校で生徒たちが使っているタブレット端末を見せてくれました。

ごくごく普通のタブレットです。「最近、どこの国でもこういう教育やるんだね〜」と感心したのですが、面白いのは用意されているアプリたちです。

ざっとみると、電卓アプリにWikipediaにいかにも教育でも使えそうなアプリと一緒に、Pic Collegeという写真編集アプリやPDF編集アプリなど大人が普通に使うようなアプリもインストールされています。

SmartRecorderというアプリは、自分が話した声を録音してくれるアプリだそうです。特にフランス語が得意でない外国人のための特別クラスでは自分の発音をチェックするために使うのだとか。このアプリは私のようなフランス語を学び途中の大人でも使えそうですね。

「なるほど、こんな風に子どもの頃からアプリに触れていたらデジタルネイティブになるわ」と新しい授業スタイルの登場に、アナログ世代の私としては感心しきりです。

フランスらしいアプリの使い方

さて、「このアプリが面白いのよ〜」と先生が教えてくれたのがl’atelrer picassoというアプリです。

このアプリ、ピカソの事が学べるアプリなのです。

例えばキュビズムというページを開くとピカソの作風や作品を見る事ができます。

いわゆる紙の教科書にはないメリットが高画質なため、作品の質感や筆遣いまで見る事ができことです。

拡大していただくとわかるのですが、油絵の具が盛り上がった様子もタブレットだとみることができます。なかなか美術館で本物を見る機会はフランス人といえどそうそうないでしょうが、これなら教室で子どもたちと絵画鑑賞を楽しむことができますね。

アプリを使って実践もできる!

このアプリが面白いのが、ピカソの作風でアートが作れてしまうところ。

例えば、写真を一枚取ります。

これをあの時代バージョンに編集するとこんな感じになります。(イメージしている青の時代より現代的です・・・)

次に初期のキュビズム。こちらは4枚写真を使ってみましょう。

旅先のなんの変哲もないしたいホテルの一室です。これを組み合わせると、

おー!アートになった!!キュビズムって難しいなと思っていたのですが、違う視点や場面を組み合わせたらということが良くわかります。頭でわかると、やってみてわかるは全然違いますね。

最後に、キュビズムの後期の作風。こちらも写真を二枚使います。

これを組み合わせると

 

ん??微妙????

という出来栄えはさておき(笑)、アプリを使ってみて初めて、ピカソの頭の中というか、視点を理解することができました。

正直子どものころはピカソの絵の良さや凄さが分からなかったのですが、こうして実際に絵ができる過程を体験すると、「見たままに描かなくても良いんだな」というある種の思い込みが外れました。

そして、違う目線で見る世界って面白いな!と発見しました。ピカソはこんな風に世界を楽しんでいたんですね。

ピカソの見た感覚を小学生のころから体験できる、フランスの子は羨ましい。そして、新しい教育の可能性を押し広げるITを使った教育にもポテンシャルを感じます。

ということで、フランスで垣間見た教育現場でのIT活用は、アートに親しむフランス人らしい活用法を見つけることができました!