両方通ってわかったフランス現地小学校の普通クラスと特別クラスの違い

現地幼稚園から現地小学校に進学した次男でしたが、結局1年しか現地幼稚園に通わなかったためフランス語力が足りず、CP(小学校1年生)になって早々にフランス語を母国語としない子どもたちのための特別クラス(UPE2A)がある小学校に転校することになってしまいました。

ただ実際に転校してみて、結果としては特別クラスに転校して良かったと感じています。

今回はフランス現地校の普通クラスとUPE2Aどちらに行かせたらよいかと迷う親御さんのために、両方のクラスに通ってみて感じた教科書や学ぶ内容の違いをご紹介します。

目次

CPでもフランス語のレベルは高い

まずフランスの小学校に入学して最初に焦ったのはフランス語の教科書が思ったよりずっと難しいということです。

CPはアルファベットや書き取りだから大丈夫だよ~なんていう話を信じて安心していたのですが、そう甘くはありませんでした(汗)

次男の場合1年間、現地幼稚園に通ったものの幼稚園の時間以外に特にフランス語をやっていなかったのもまずかったようです。

結果として何となくアルファベットが書けて、お友達との日常のやり取りが少しできて、先生が指示する日常のルーティンが何となくできる程度でした。

親の目からも見てもCPに行って大丈夫かなあ?という状態でしたが、進学先の校長先生の面談を経て入学許可ももらっていたので、心配はありつつも学校が始まってしばらくはゆっくりついて行けるようになれば良いやと思っていました。

ところが学校から最初に持って帰ってきた教科書や宿題に出される「詩の暗唱 poésie」を見て愕然。いや~、フランス語勉強中のママも辞書引かないとわからないわ・・・。

小学校に始まって間もなく宿題で出された詩の暗唱。分量も多く、しかも筆記体!

くわえて、今まで次男がどのぐらいフランス語を理解しているのか謎だったのですが、ほとんど読めないということも判明。例えば、アルファベッドは幼稚園で習ったので、読んだり書いたりできます。でもpapaという単語は「P(ぺー)、A(アー)、P(ぺー)、A(アー)」とは読めても「パパ」とは読めないのです。

なのでbébéといった新しい単語をみても「べべ」と読むことができません。その状態では詩の暗唱なんてとても無理です。

そんな状態で学校側から突き付けられた転校は、まだ通い始めて1週間と余りに早い展開にびっくりしつつも、先生たちの指摘も理解できるものでした。(というか校長先生との面談の段階で早く判定して欲しかった・・・)

考えてみたら当たり前です。日本でも1年生ではほとんどの子が短い物語を自分で読めないながらも大人に読んでもらえば完璧に理解できるぐらいの日本語力を身に着けています。しかも子どもが通っていたのはパリ16区で教育熱の高い地域です。フランス語力が弱い子のために授業を遅らせたら、他の親から苦情も出ることでしょう。

例えば普通クラスの教科書ではいきなり短い物語の読みこみがって、そこに出てくる新しい単語の綴りを学んでいきます。

フランスのCP(小学校1年生)の教科書。いきなりこの分量を初見で読みこなせないといけません・・・。

日本の学校の国語に例えるならば、1年生の授業で「おむすびころりん」をみんなで読みながらひらがな、かたかあなの書き方を学んでいく、というのとまったく同じです。そして詩の暗唱は「ちょうちょ」や「こいのぼり」などの童謡を暗唱するようなイメージでしょうか。

つまり、教室でたどたどしくも初めて文章で出会う「おむすびころりん」や「ちょうちょ」を初見で読める力が無いとついていけないのです。成長の早い子、遅い子はいても、大体の日本の子どもは何とか読めるでしょう。

でも、フランスに来て1年やそこらの次男には同じことをフランス語でできるレベルにはありませんでした。

UPE2Aはアルファベットの読み方から始まる

そんなことで、CPに進学してから3週間目にUPE2Aクラスがある小学校に転校しました。

結果としては転校して良かったです。

まず、教科書の内容が全く違う

UPE2Aクラスのテキスト。まずはアルファベットの基本から。そうそうこういうのがうちの子には必要なんだよな、という内容です。

まずはアルファベッドの読みと簡単な単語から学んでいきます。文章がない分、普通クラスよりは格段に学ぶ量が少なく、アルファベッドの読みに集中できます。

またこれは親もありがたいのが、2つ以上のアルファベットが組み合わせた時にどう読むかのも学んでいきます。

例えば写真は「L」について学ぶ単元。

L(エル)だけでなくla, li , lyなどの音も一緒に学んでいきます。普通クラスの場合この辺の学習はあまり詳しく触れず口頭で注意を受ける程度のようです。フランス人にとっては読み書きができる過程で自然と身についているところなのかもしれません。

アルファベットの読み方の練習。宿題では大人も一緒に読みも練習してフランス語を学ばせてもらっています(笑)

また、UPE2Aではle, la といった概念もまだ最初のうちは触れないようです。

普通クラスでは最初の日のテストで単語の前にle, laを書きなさいという問題が出ていました。

フランス人だって書けないだろう・・・と思ったら、別の学校のUPE2Aにお子さんを通わせる日本人ママさんに、「フランス人の親はle, la については小さいころから辛抱強く訂正して直してるんだよ。だから小学生ならある程度わかるはず」と教えてもらいました。これを聞いてもやはりうちの子は普通クラスに通い続けるレベルではなかったなと思いました。

子どもも以前は教室ではほとんど何を言われているのかわからないという状態でしたが、新しい学校では何を今学んでいるのかしっかり理解できるようで、楽しそうに通っています。

学校、クラスの雰囲気

さて、普通クラスと特別クラスのある学校の違いですが、学校のシステムとしてはフランスの公立小学校としてほぼ変わらないようです。違いは特別クラスがあることだけ。

特別クラスは国際色豊か。次男のクラスはヨーロッパ系の人のほかに、アラブ系、アジア系で移住してきた人の子どもたちも多いようでした。

普通クラスの学校に通っていたときはフランス人8割、外国人2割りぐらいでしたが、今の学校は移民系半分以上です。

これは特別クラスがあることに加え、学校の立地も大きく影響しているようです。同じくUPE2Aを設置している学校でも、知り合いの子どもたちが通っている学校はヨーロッパ系が多く、子どもがUPE2Aに通っていても親御さんは英語べらべらというケースも多いようです。

逆に次男が通う学校のUPE2Aクラスはアラブ系やアジア系の人たちはあまり英語も話せないようで、必然的にコミュニケーションは片言のフランス語になります。

というわけで、UPE2Aのある学校のほうが外国人率が必然的に高くなりそうですが、それ以上に学区にどんな人たちが住んでいるかで学校の雰囲気も変わってくるようです。

 

以上、フランス現地小学校の普通クラスと特別クラスUPE2Aの違いについてのご紹介でした。

我が家が悩んだ点は幼稚園でせっかく仲良くなったお友だちと離れて新しい学校に行くことが子どもとって負担にならないか?ということでした。

でも当たり前ですがCPは幼稚園と違って学ぶ量が各段に増えます。

お友だちと楽しく過ごすというより、一日の大半を占める学習の時間が苦痛でない環境が一番だと感じました。

また親同士もフランスに暮らし始めて間もない、という安心感もあり外国人である親にとっても仲間づくりがしやすいというメリットもあるかもしれません。

これから幼稚園から小学校に上がられるお子さま、日本から来て間もなく現地小学校への通学を通っているお子さんがいる方のご参考になれば幸いです。

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