フランス教育省主催の無料フランス語講座で一番学んだこと

先日、10月から6月まで9カ月通っていた、フランス教育省主催の無料フランス語講座が終了しました。

1年弱通ってみた感想はフランス語も少し上達したけど、それ以上の学びを得ることができました。

今回は、保護者のためのフランス語教室に通って学んだこと、感じたことをご紹介します。

目次

フランスが話せない親のためのフランス語教室

先日、10月から6月まで9カ月通っていた、フランス教育省主催の無料フランス語講座が終了しました。

この講座は、子どもをフランスの公立幼稚園~高校に通わせる外国人の保護者のためのフランス語教室です。パリでは外国人の特別学校を設置する小学校の一部で週2回放課後に開催されています。

このクラスでは、フランスに来て間もないお父さん、お母さんたちと共に約1年かけて、基礎的なフランス語を学びます。特にテキストの内容が、学校に特化しているのが最大の特徴です。

学校の入学や給食の手続き、必要な学用品の購入、修学旅行の申込みなど、フランスの学校あるあるを学びながら、1年間フランス語だけでなく、フランスの学校についても学ぶことができました。

しかも、学期末の最後にはフランス教育省が唯一公認するフランス語資格であるDELFが卒業試験代わりに無料で受けることができるという至れり、尽くせりなお得なプログラムです。

フランス語講座終了後は先生や生徒たちで打ち上げパーティー!!9カ月共に学んだ仲間と最後に美味しいご飯を食べ、習いたてのカタコトのフランス語を使いながらお互いの頑張りをねぎらいました。

 

1年間、フランス語教室を終えてみて良かった3つのこと

さて、1年間このフランス語教室で学んでみて、無料のフランス語クラスながらDELF対策もしてもらえたりですらすらしゃべれないまでもフランス語に抵抗がなくなりました。

でもそれ以上にこのクラスに参加して良かったと感じたことがあります。

1.フランスの学校に通う上で超実用的な知識

1つ目は教材がものすごく実用的だったので、実際に子どもをフランスの幼稚園に通わせる上で非常に役に立ちました。

特に手続き系は「申請用紙の書き方」まで教わるのですが、そっくりな申請用紙が後日学校から配られたりするので、「ああ、この前やったあれね!」とビビらずに対応できます。

学年の後半にはgoogle翻訳に頼る場面も減り、自分で何となく申し込み用紙を書けるまでに。

特に、何度となく氏名、生年月日を記入する、話すレッスンがあるので、すらすら西暦の4桁の数字を言えるようになったこともメリットです(笑)

2.フランスの文化、社会を知れたこと

2点目はフランスの文化、フランス社会の原理原則を知れたこと。

クリスマスでどんなものを食べるのか?フランスの美術館の話など、ガチガチのフランス語の勉強だけでなくそんな話も時間がしっかり取られていたので、フランス人がどんな風に生活しているのか、少しわかるようになりました。

これって案外大事なことで、フランスとは全く異なる生活習慣の国から来た外国人にとっては、フランスの行事を知らないと、学校や生活で困ったり、疎外感を感じることが少なからずあるように思います。でも、フランス人の暮らしや習慣を知っていると、子どもと一緒に楽しむ心の余裕が出たような気がします。

また、「世俗主義」という概念を学んだときは非常に興味深かったです。世俗主義は要するに「政教分離を徹底的にする」という考え方。フランスの学校に宗教を持ち込むのはたとえキリスト教であってもタブーなのです。

例えば体育の場で女子が肌を全身隠すのもフランスでは良しとされません。一方で厳格ムスリムの人にとっては女子が肌を出すことはありえないこと。

でも、もし新しくフランス社会に移り住んだ人たちが「世俗主義」という考えを最初に知ったらどうでしょうか?「差別」とショックを受けて反発するのではなく、その国の流儀なのだと理解し、ではどうしようか?と学校と良い落としどころを考えるよう相談することができるかもしれません。

この原理原則を知っておくことはフランス社会に溶け込むために非常に大事なことです。特にムスリムをはじめとする異なる文化圏の移民を多く受け入れる受け入れるフランスにとっては、長い間の摩擦を経て今試みていることなのです。

私の通ったフランス語のクラスでそこまで深く世俗主義が提示されたわけではありませでした。それでもキーワードとして「世俗主義」という概念が教えられたことでよりフランス社会を深く理解できるようになりました。

3.日本では出会えない国の人たちと交流できたこと

さて、このクラスを受けて一番良かった点は日本では出会えないような国のお父さん、お母さんと交流ができたことです。

私のクラスにはロシア・東欧系・南米など西欧系の生徒やアジア系の生徒もいましたが、8割はイスラム系の国からきている人々。

ある意味、フランスのことと同じぐらい、イスラム圏の国のことをよく知るようになりました(笑)

彼らは政府系の機関から派遣された駐在の人もいますが、半分はリアル移民です。なかには紛争地帯からきている人も。

自宅に爆弾が落ちてきてパリに逃れてきた人、

若い親戚を爆撃で亡くしてしまった人、

本当にまれですがそんなエピソードも時々話してくれました。

きっと色学生や中学生の子どもを生んだころに祖国がそんなことになるなんて思いもしなかっただろうな。

でも、彼ら彼女らは普段は同じような世代で同じぐらいの子どもを育ているパパとママなんです。

普通に家族と笑って、前を向いて生きていこうというたくましい人たち。

生きるパワーに満ちあふれていました。

 

そして改めて日本という平和な国、世界に友人として好ましく思われている国に生まれた自分や、子どもたちがどれだけ尊い環境に生かされているのかを感じました。

まさか、フランスに来て紛争地帯の国に詳しくなるとは思ってもみませんでした。

でも日本では出会えない価値観と出会うのも外国に住んで得られる重要なことなんですよね。

そういう意味では1年間のフランス語教室を通して、異なる生活習慣の人々を理解しようという広い視野を授けてもらったような気がします。

 

というわけで、今回はいつもの観光案内とは一味違う、コラム回。

改めて様々のバックグランドの人たちと出会ってこのブログのテーマである「遊びながら学ぶ社会を創りたい」なんて、平和な国じゃないと考えていられないと感じます。

でも、世界に普通に学校に行って学べない環境があるからこそ、教室に行かなくても学べるメソッドがあったらいいなと改めて強く思いました。

この経験がどんなふうにこれから未来につながっていくのかわかりませんが、新しい視点を授けてもらったことに感謝していこうと思います。