「zouaveさんって誰?」パリのセーヌ川が増水になると話題になるあの人

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セーヌ川は2016年以来の氾濫の危機

2018年の冬はとにかく雨の多いパリですが、ここ数日の大雨でセーヌ川が2016年以来の反乱危険水位になっています。

ノートルダム寺院があるシテ島のあたりもこの通り。シャンジュ橋のNのマークの下まで水が来ています。

写真の通り、橋のすぐ下まで水が来ています。まだ堤防までは2~3メートルあるので、すぐに水があふれるという状況にはありませんが、遊歩道は完全に水没しています。

ちなみにこちらは少しポイントがずれていますが、5月に2本上流のアルコル橋から撮った写真です。

よくみると、向かって左がわの堤防が白いところと黒いところで色がわかれています。2016年6月にもどうようの増水があったので、その時の名残でしょうか。今回も2016年の増水跡には達していませんが、ちらりと見えるシャンジュ橋と遊歩道を歩く人の大きさで推測するとやはり5メートル以上は増水しているのがわかります。幸い、雨が止んだことで、2016年の増水までは水位は上がらない見込みだそうです。この点は一安心ですね。

日常生活への影響

日常生活的には大きな混乱はないものの、セーヌ川沿いを走るC線やいくつかの川沿いのメトロの駅が閉鎖になっています。

パリに住んでいる限り大きなメトロやバスが平常通り動いているので大きな影響はありませんが、郊外からC線を使って通勤している人たちは大変なようです。日本ほど私鉄のようなものがなく、かつ長距離を走るので、車で通勤するか、その他の路線まで大幅に迂回してこないといけないようです。

またパラロワイヤルからエッフェル塔付近は川幅が普段の二倍になり、普段は観光客で賑わう遊歩道も完全に水没しています。このため、この付近から発着する観光船や、川岸のいくつかのレストランで水没してしまい営業ができずに大打撃だそうです。

逆に増水になって1つだけウハウハのお店があります。それは、セーヌ川沿いの本の屋台。観光もオフシーズンで客足が少なかったところに、一目セーヌ川を見ようと集まる観光客が多いらしく、いつもよりお客さんが多いのだとか。なんとも商魂たくましい限りです。

増水すると話題になるZouave(ズアーブ)さんって誰?

さて、ここまでセーヌ川の増水の現状をご紹介しましたが、地元のニュースを見ていて面白い記事をみつけました。

Qui est ce Zouave, vigie des crues de Paris ?(パリの洪水を警戒しているこのZouaveは誰ですか?)

なんだろう?と思っていたらエッフェル塔にほど近いアルマ橋の彫刻のことだそうです。

1856年に完成したアルマ橋はクリミア戦争のアルマの戦いにちなんで名前が付けられた橋です。その際活躍したアルジェリア出身のズアーブ兵の彫刻が飾られました。元々はクリミア戦争で活躍した、擲弾兵、猟兵、砲兵も飾られていたのですが、現在は橋が改装され、これらの彫刻は別の場所に移されており、ズアーブ兵だけが残っているのだそうです。

そしていつしか、このズアーブ兵がセーヌ川の増水の目安になったのだとか。前述の記事でも、過去たびたび起こった増水の記録が紹介されています。ちなみに、このズアーブさんの足より水が上がってくると船の運航ができないんだそうです。そういえば、26日にバスでセーヌ川沿いを走っていたら、アルマ橋だけやたらにメディアが集まって写真を撮っていました!そういうことだったのねえ。

さて、今回の増水はどうだったの?と思っていたらtwitterで解りやすくまとめてくれている人がいました(笑)この辺はネットの人々の逞しさを感じますね。

2018年は1月25日の推移なので、その後もう少し上に水が来ていると思いますが、20世紀に比べるとまだまだ余裕がありそうです。だからパリ市民は大騒ぎせず、静かに暮らしているのですね。

というわけで、ズアーブさんはアルマ橋にかかる彫刻のことでした。いつもセーヌ川の水位を見守っているズアーブ兵。パリのアルマ橋を訪れた際は、どのぐらいの水位か見てみると面白いかもしれません!

その他参考記事:Le Point “Sur la Seine à Paris, des commerçants en “chômage technique”