パリの家探しでトラブル物件を避ける3つのポイント

水漏れなど何かとトラブルが多いフランスの住宅ですが、パリで家を探すにあたってトラブルがゼロの物件を避ける方法はあるのでしょうか?パリ生活が長くなるにつれ感じるのは、「パリでトラブルが全くない完璧な物件を探すのは至難の業」ということです。パリの住宅状況や国民性を考えると大小さまざまなトラブルが日常的に起こることは避けられないでしょう。

それでも、家探しの段階で注意すればトラブルを少しでも減らすことはできるかもしれません。今回は在仏歴の長い日本人たちもびっくりした欠陥&法廷係争物件に当たってしまった我が家の経験をもとに「初めからこうしていたら良かったのにな」という3つのポイントをご紹介します。

目次

投資目的の物件を避ける

まず、今回のトラブルで私たちが一番失敗したなと思ったのは「投資物件」を借りてしまったことです。

トラブル物件に住んでみて一番感じたことは「あー、この物件は人が長期的に住むための家ではないな」ということです。間取りも家具もすごくオシャレ。でもどこかホテルみたいだな、と思いました。見た目にはスペシャリティが高いのですが、生活をしていくためのインフラの整備がきちんとできていません。特に、水回り、電気系統は手を抜いていることが素人目にも一目瞭然でした。

一方、今住んでいる家は直前までオーナーが自宅として使っていた家です。オーナーは私たちとほぼ同じ世代のおそらく40代前後のフランス人夫婦です。我が家の長男と同い年の女の子と三人で住んでいました。おそらくオーナーにとっては家族の思い出が詰まった大事な愛着のある家。それを仕事の都合で一時的に転居をするために人に貸したいということでした。オーナーが大切に住んでいた家なのでキッチンやお風呂などの水回りまで手入れが細部までとにかく良く行き届いています。そんな風に家を大切にしているオーナーなので、何か不具合があるとすぐに対応してくれます。前の家のオーナーはついに顔も名前も知らないまま終わってしまったのとは非常に対照的です。

やはりオーナーが住んでいた持ち家の場合、「いずれはこの家に帰ってきたい」、「家族が住んだ想い出の家」という意識が強いので、トラブルがあっても家に致命的なダメージを受けないよう迅速に対応してくれる傾向があるように思います。

日本人が住んでいた物件に当たる

二つ目のポイントは日本人が住んでいた家を借りる、というちょっと裏技的なポイントです。例えば、海外赴任なら前任者の家を紹介してもらう。留学生なら先輩のつてを通じでもうすぐ帰る人の家を紹介してもらう、という方法です。私たちも結果的には別の家にしましたが、知り合いの日本人たちから帰国する人の情報をもらい、何軒か物件を紹介してもらいました。

日本人が住んでいた物件の後に入るメリットは実際住んでどうだったかを日本語で聞けるということです。まずは、住み心地などの細かい情報を事前に聞くことができます。例えばその人が気に入って住んでいた家なら喜んで紹介してくれるでしょう。逆に難ありだったなと思えば、「この物件はトラブルが多かったからやめた方が良いよ」とアドバイスをくれるかもしれません。

また余談になりますが、リフォーム直後の物件もトラブルが起きやすい可能性があります。内装はきれいでも、リフォーム工事による小さな水漏れ、湯沸かし器の不具合、セントラルヒーティングの不具合などの初期不良を抱えている可能性があります。実は私が今住んでいる家も、賃貸用にオーナーが一部リフォームをしてくれました。ところが良かれと思ったことが裏目に出て、リフォームしたところはことごとく不具合が起きています。比較的な良心的なオーナーが所有する物件ですら初期不良を抱えてしまうので、リフォーム後は99%何らかの不具合が隠れいていると思った方がよさそうです。もし、先に誰かが住んでいる物件なら初期不良は出尽くしている可能性が高いですし、実際に住んでいた日本字に事前に聞いておくこともできます。

もし、直前に住んでいたのが日本人なら「住み心地」や「トラブルの有無」を日本語で教えてもらえるので安心です。

家探しのベストシーズンに探す

最後のポイントは「家探しの時期」です。これもタイミングの問題になってしまいますが、非常に重要なポイントです。

今回私たちは5月の頭に退去を決めましたが、実際に退去通告をして家を探し始めたのは6月に入ってからです。というのも、フランスでは夏のバカンスのタイミングで引っ越す人が非常に多く、その1か月前からこれから空き予定の物件が大量に出回ります。ちょうど、日本で4月の新年度前に3月に引っ越しピークが来るのと同じですが、9月の新年度直前の8月ではなく、さらに1か月前の7月に引っ越ししてバカンスに出かけるのがフランス流のようです。

私たちも連日、不動産サイトを見て家を探していましたが、ある週だけインターネットの検索に引っかかる物件がぐんと増えた時期があります。それは6月第3週ごろ。ちょうと7月の2週目からフランスの学校がバカンスに入るため、終業式を待って引っ越す人が多いのだそうです。そのため、7月下旬以降に入居できる物件が大量に出てきます。この時期は外国人向けではなく、現地のフランス人が住んでいた物件も多く出回るので、良質の物件をいくつも内覧することができました。そして、その中の1件が今住んでいる家です。

もしどうしてもすぐに入居しないといけないのでなければ、6月に家を探すことを強くお勧めします。逆に、7月に探し始めてももう良い物件はほとんど契約済みになってしまいます。実際私たちが家を探していた時も、6月第4週以降は新しい物件情報の公開が減っていきました。6月に家を探すということは日本のカレンダーで動く人だと、やや探しにくい時期です。それでもトラブルをなるべく少なくしたいということであれば、6月まで待つ方がより多くの選択肢の中から最良の物件を選ぶことができるかもしれません。

というわけで、フランスの家探しでトラブル物件を避ける3つのポイントでした。そうはいっても何かしらトラブルが起きてしまうのがフランス。あまり小さなトラブルには目くじらを立てず、私が経験したような欠陥住宅と信頼できないオーナーに当たらないようにだけ気を付けてくださいね!