引っ越してすぐに水漏れ!?パリのありえない住宅トラブル事件簿

パリと言えば「華の都」ですが、パリ在住の方なら「住宅トラブル!」あるいは「水漏れ!」なんて言う方も多いのではないでしょうか?もしかしたら「パリ、住宅トラブル」「パリ、水漏れ」なんてキーワードでこのページにたどりついた方もいるかもしれません。

もしあなたが今、何か住宅でお困りごとがあって読んでくださっているなら、私の経験が何かに役に立つかもしれません。もしくは何かの慰めになるかも(笑)というのも、我が家はパリ在住歴30年の日系不動産屋をはじめパリに長く住んでいる日本人たちが唖然としたひどい物件に住んでいました。今回は我が家が経験した住宅トラブルをご紹介をご紹介します。ぜひご自身の陥っている状況と比較してお読みください。

それでは我が家がパリに来てすぐに遭遇した日本では「ありえない」住宅トラブルをご紹介します。

目次

我が家が経験した「ありえない」トラブル事件簿

バンザーイ!パパのパリ赴任が決まり、華の都に住める!とドキドキワクワクで引っ越ししてきた我が家。渡仏して間もなく不動産屋が紹介してくれたいくつかの物件の中からダントツに内装がきれいなマンションに決めました。雑誌に出てきそうなオシャレな家具、壁の色もオシャレでいかにもパリなお家。キッチンも豪華で、大きなテレビもある!しかも素敵なアートまでおいてあります。「こんな家に住めるなんて。やっぱりパリってすごい」とふわふわ夢見心地で住み始めました。でも、それが悪夢の始まりだったのです・・・。

引っ越して1週間で下の住人からクレーム

最初の事件は引っ越し後、最初に迎えた週末の夜にいきなり起こりました。

週末の夜ということで、パパと息子2人で楽しくお風呂に入っていました。日本人らしく、バスタブにたっぷりためて(もちろん浴槽の外にはあふれない程度に)時には水を掛け合ったりして遊んでいたようです。ちょうどお風呂から3人が出たころ、「ピンポーン」とドアの呼び鈴が鳴りました。

「ん?だれだろう??まだ夜に訪ねてくるような知り合いもいないし」と不審に思いながらパパが扉を開けると、下の住人でした。「今、お風呂を使っていませんでしたか?」と聞かれたので「ええ、入っていましたよ。それが何か?」と返すと「私の家の天井から水が漏れてきているのです」とのこと。慌ててパパが下の家に確認にいくと確かに天井から水がつーっと漏れてきて、下の家の戸棚のところに30cmぐらいの水たまりができていたそうです。

「あちゃー、これが噂に聞くフランスの水漏れってやつか。早々にやってしまった、どうしよう・・・」その時はそう思いました。ところがよくよく聞くと、私たちの家の水漏れは1年以上前から続いており、下の住人と我が家のオーナーで弁護士を立てて争っている「係争物件」だったのです。しかも下の住人の話ではオーナーは強力な弁護士と水の専門家を立て、この家が原因ではないと強固に言い張っている。挙句の果てに私たちの入居直前にこの物件を売却して連絡が取れなくなってしまった、というのです。

「えー!?そんな話を私たちは全く知らされていません」と伝えると「私もあなた方に責任があるとは思いません。ただ、水漏れの因果関係をはっきりさせて、あの酷いオーナーにお金を払わせたいんだ!もうこの件で自宅の修理に何千ドルもお金を使っていて、非常に困っているんです」と下の住人は言いました。さらに、水もれは一か所ではなく、私たちのお風呂の下のほかに、キッチンの下とお風呂とは別についているシャワールームの下も過去に水漏れがあったそうです。その3か所の天井は大きな赤いしみができていました。もうお気の毒を通してなんといって以下わかりません・・・。

それにしてもこんな物件を紹介するなんて酷いじゃないか!と取次ぎをした不動産屋にも怒りが沸いてきます。一応会社から紹介された不動産屋で信頼していたのです。

どこにも排水されない排水ホース

さて、なんでお風呂からお水が漏れるんだろうと不思議に思っていたところ、浴槽の下をのぞくことができる点検口を見つけました。中をのぞいてみたところ驚きの光景が広がっていました。なんと、お風呂からお水があふれないようにするためについている穴の先についているホースが15㎝しかなく、どこにもつながっていません。

と、話すと皆さんここできょとんとした顔をしますので、少し補足します。まず、パリのお風呂をイメージするときは日本の洗面台をイメージしてください。お風呂の底にある排水溝のほかに、お風呂があふれないようにするためのオーバーフローロという穴があります。(写真は今の家のものです)

当然普通ならあふれた水は本来の排水口と同じところを流れていきますよね?でも我が家のオーバーフローロは「どこにもつながっていない」のです。バスタブの裏に15㎝のホースがチョロリンとついてブツっと切れている。

「え????やっぱり意味わからないんだけど・・・」みなさん、そうおっしゃいます(笑)でもそうとしか言いようがないのです。

その「どこにもつながっていない」ホースを通じてあふれた水はどこにいくのか?不思議ですよね?答えはバスタブの下。私たちが見た時もむき出しのコンクリートの上に水が2m×1m四方で水がたっぷり溜まっていました。

素人レベルの雑な工事のオンパレード

さて、これだけでも驚きなのですがこの家のヒドイところはそんなもんじゃありません。さらに恐ろしいことに、なんとその溜まった水の側に電気の配線が引いてあるのです!これは後日、実際の様子を写真で見た日本の知人にに指摘されたのですが、「水漏れそのものより、感電リスクのほうが怖いよ!その物件ヤバいよ」と心配されました。ホースの取り付け方といい、配線の引き方といい、素人目にみても非常に雑な仕事ぶりです。およそ知識がある人が工事したのかすら疑わしい。

その証拠に水漏れ以外にも入居時から我が家にはいくつもトラブルがありました。

例えば

  • 電球が次々と切れる
  • 換気口のアルミパネルがネジごと外れる
  • 天井のペンキがはがれてボロボロ落ちる
  • 壁にとつけられたオシャレな電気スタンドがある日ポロリと落ちる
  • 据え付けのコーヒーマシンが壊れて動かない

など、オシャレな見た目と反して中身はボロボロでした。後で聞いたのですが、この手の工事はここ10年ぐらい東欧などから来た出稼ぎ労働者が入り込んで請け負うことが増えたそうです。フランスは先進国ですが、こうした国はまだまだ発展途上。電気や水道の適切な教育を受けずに経験値だけでいい加減に工事をしている可能性があります。「これ本当に先進国のやること?」とびっくりしましたが、実は本当に先進国レベルでないサービスがまかり通っているようです。

しかも我が家の物件は明らかに投資物件でした。オーナーは別荘として使うことはあっても、自分は住むことが無い。だから工事はできるだけ安い業者に委託し、お金をかけたくなかった、というのが本音でしょう。

入居1週間で退去の意思表示

というわけで「こんな家住めるかー!!!」と会社と不動産屋に強くクレームを入れ、入居1週間余りで退去したいと伝えました。それでもすんなり退去が決まったわけではありませんでした。というのも、会社の窓口をしているフランス人にこの状況を説明しても「まあ、パリは良くトラブルあるからね~」ぐらいの雰囲気でなかなかGOサインがでませんでした。私たちの場合、引っ越しが会社負担であったため、コストが余計にかかってしまうという事情もあったようです。

しかし、今回は

  • 不動産屋およびオーナーの代理人が事前に適切な告知を行わなかった
  • 水漏れの原因を取り除くためには、お風呂の工事など数カ月を要するであろう

ということで問題が大きいという判断になり、めでたく退去決定!あぶなくトラブル屋敷に2年間住む羽目になるところでしたが、それは免れました。

前の住人もわずか3か月で退去

また、早々に退去の意思表示をしてよかったです。というのもこうした物件に長く住んでいても良いことは一つもないからです。退去時にわかったのですが、この家も前の住人が実はわずか3か月で退去していました。契約解除通告をしてから1か月後でないと退去できないので、前の住人達も入居して2カ月で退去を決めたことになります。おそらく、下の住人とのトラブルに耐えられなかったのでしょう。入居時に小さな赤ちゃんの絵本やおもちゃが少しだけ残されていたので、小さいお子さん連れだったのかもしれません。同じ家に暮らした人が、同じようなトラブルに巻き込まれ、失望しながら暮らしていたのかと思うと、他人とは思えませんでした。

と、ここまでが我が家が体験したフランスの住宅トラブル事件簿になります。

海外生活における住居トラブルは夫婦離婚危機に発展するぐらいの非常に重大要素です。慣れない異国で毎日トラブルに見舞われているようでは、まともに仕事も生活もできません。もしこれからパリで家を探してみようという方がいたら、こんなひどい目に合わずに素敵な家が見つかるといいですね。またこれを読んでいるのが今まさにトラブルに合っている方でしたら「あなただけじゃないよ!」とお伝えしたいです。水漏れなんて1度は経験するのがパリですから。でも、辛抱強く乗り越えていけば、素敵なパリ暮らしが待っています。我が家もその後の転居までの道のりは全くスムーズではありませんでしたが、半年たって今は笑い話です。

我が家の珍事件がみなさまのお役に少しでも立つか、慰めになれば幸いです(笑)

それではここまでお読みくださりありがとうございました。