日本人学校通いでも友だち遊びは悩みのタネです。
海外で生活すると非常に悩むのが「子どものお友だち関係」です。我が家は2年間と駐在期間が短いので、長男は日本人学校に入れています。
現地校と比べると日本人学校は言葉の壁がないので友だち作りで苦労することは比較的ありません。それでも海外という日本とは全く異なる環境で、子どもたちは自由に友だちと遊ぶことができず、親子ともにストレスを感じる日々です。
今回は日本人学校に通っていても発生してしまう友だち遊びの悩みと、やっぱり友だち遊びが大事だと思う理由をご紹介します。
悩み1: 放課後自由に遊べない
海外生活で一番困るのは、安全上の理由から、日本のように放課後に子どもたちが勝手に家を出て遊びに行くことができないことです。
日本では小学校も2〜3年生ともなれば、家に帰ったらランドセルを置いてすぐにお友だちの家に遊びに行ってしまうというのは当たり前ではないでしょうか?自分の子ども時代を振り返っても、友だちと過ごした放課後の時間の方が、学校で過ごした時間より何倍も記憶に残っています。
ところが、海外に住んでみると日本ほど安全な国はないとつくづく思い知らされます。私が今住んでいるパリでもある小学生が一人で道を歩くなんてもってのほか!10歳以下の小学校の登下校すら必ず保護者の送迎が義務になっています。(ちなみに日本の小学校6年生はフランスでは中学生になるので、ほぼ小学生の間は一人登校は禁止です)
驚いたのは家のマンションのエレベーターに小学生の子どもを一人乗せただけで、たしなめられたこと。マンションのエレベーターの下で鍵を渡して、先に部屋に帰っていてねと子どもを一人乗せたところ、「あなた本気?」と通りがかった住人の女性に言わました。私からするとちょっと1〜2分目を離す感覚ですが、それすらも危険なことだと教えられました。
そんな環境なので、子どもたちが勝手に外に遊びに行くことは考えられず、どこに行くのも親の付き添いが必要です。友だちの家なら行きと帰りの送迎、公園遊びなら親の監視のもとで、と常に親の目のある環境で子どもたちは過ごしています。
日本のように自転車に乗って友だちと街を自由に探検するなんて夢のまた夢。フランスではズッコケ3人隊なんて児童虐待か育児放棄のストーリーになってしまうかもしれませんね。
悩み2:放課後の時間がそもそも短い
地域にもよると思いますが、放課後の時間がそもそも短い、というのも海外に居住すると子どもたちの悩みではないでしょうか?
ドイツなどを除くと日本人学校はその国に一つしかないケースがほとんどです。日本人学校に通わせる家庭はその通学圏内に住むことになりますが、とはいえ日本人が多く住むエリアと学校の場所が確保できるエリアが近接しているとは限りません。
子どもが通う学校も多くの人はパリ市内に住み、郊外の学校まで通学バスで30分近くかけて通っています。30分と言っても、高速道路を使って世田谷から八王子まで通っている感覚です。渋滞が発生すると、さらに通学時間は長くなり、放課後の時間が削られます。
また、低学年とはいえ、通学バスなので、高学年と同じ時間に帰ってきます。なので低学年でも6時間目まで学校で過ごしてから帰宅します。
さらに冬は日が短いので、バス停についてまもなくすると日が暮れてしまいます。ちょっと外遊びということはなかなか難しいのです。
悩み3:友だちの家が点在している
最後の悩みは住居の問題です。これは国によって事情は様々でしょうが、広いエリアに一つしか日本人学校は作られないので、どうしても家がばらけてしまいます。
たまたま近所に年の近いお友だちがいれば良いですが、いないケースもあります。また学年が上がるに連れ、男女で遊ぶことが減ってくるので、同性のお友だちがいた方がやはり遊びには困りません。
我が家もこちらに引っ越した当初は、同年齢の子が遊んでくれたものの、同性の男の子が誰もおらず寂しかったようです。その後、たまたま住居のトラブルで引っ越ししてからは男の子のお友だちが何人かいてようやく、人並みのお友だち遊びができるようになりました。
また、せっかくお友だちができても、どんどん帰国してしまうのも駐在コミュニティの宿命です。逆に言うとまた新しい友だちとの出会いのチャンスでもあるのですが、せっかくできたお友だちとの別れは親子ともに寂しいものですよね。
それでも少し手間はあるけど友だち遊びは大事
さて、日本と比べると制限や手間がかかりがちな海外での放課後遊びですが、私個人はやはり日本と変わらず子どもにとってかけがいの無い時間だと思います。
例えばただサッカーをするだけだと、親子だと遊びというよりはついつい親の下心が働くと特訓になってしまいます(笑)。ところが子どもたちにボールを一個与えるとちゃんとサッカーの様相になり、汗だくになって遊びます。かと思うといつのまにかサッカーボールを水たまりに落として遊んだり、それを使って鬼ごっこをしたり。子ども同士の遊びは創造性がありますよね。
先日もパリは大雪に見舞われましたが、雪が止んでから公園にお友だちと遊びに行きました。するとすぐさまでっかい雪だるま作ったり、水たまりに張った暑さ1cmの分厚い氷をみんなで拾って最後は割りまくったり。兄弟だけで雪遊びしたときより何倍もの笑顔と笑い声で、やはり子どものエネルギーを引き出せるのは子どもだな!と感じたのでした。
その間親はおしゃべりしながら、待っているのですが、親同士が毎日顔を合わせ言葉を交わし、子どもを一緒に見守ること、というのも親にとってまたかけがいが無いのかもしれません。
そして何より日本の時と同じように遊べる仲間がいることはものすごく幸せなことです。近くに日本人が一人もいないという環境では無いのですから。そのことは感謝し、だからこそ友だち遊びの時間確保は親の責任としてしっかり時間を取っていこうと思います。
というわけで、海外での友だち遊びはちょっぴり不自由や少し手間がかかるところもありますが、子どもの体と心の健康のためには大切なのですね。ついつい面倒だなあと思ってしまうこともありますが、せっかくの海外暮らしを楽しむために、もう少し母も頑張っていこうと思います。