フランスの子どもは幼児から美術鑑賞!? パリ・マルモッタン美術館のキッズ向けワークショップが面白い
2月のパリはいわゆる「スキーバカンス」で幼稚園や小学校がお休みになりますが、その分バカンス中はパリのいたるところで子供向けのイベントが開かれています。パリの子どもたちは親と行くことももちろんありますが、幼稚園や小学校の学童のアクティビティの一環として参加する子どもも多いようです。
そんな中、冬のバカンス中に私がたまたま遭遇したのがパリ16区にあるマルモッタン美術館の子ども向けイベントでした。
マルモッタン美術館は美術コレクターのポール・マルモッタンの邸宅を美術館として利用し、夫婦のコレクションを展示しています。「印象派」の名称の由来となったモネの『印象・日の出』のほか、有名な睡蓮シリーズをはじめとしたモネのその他の作品や、ルノアールなど印象派の作品も観ることができます。印象派のほかにも、ナポレオン時代の新古典主義の絵画や、家具、また少し時代をさかのぼって宗教画などを見ることができます。
さて、このマルモッタン美術館ですが、展示品を見てもどちらかというと、大人向けの美術館なのです。ところがさすが、美術大国フランス、ちゃんと子どもにも作品に触れる機会を作っています。
例えばこれは2月プログラムです。
4-6歳向け
ベルト・モリゾー、印象派の女性画家
印象派の画家には女性はほとんどいませんが、ベルト・モリゾーは子どもの肖像画を描いた印象派の画家として有名です。彼女を有名にした絵をワークショップで発見してください。
7-11歳向け
印象派、近代の目撃者
19世紀末の現代化の真の目撃者である印象派の作品を観察して、あなたもまたこの時代の鍵となるエッセンスを再現してみましょう。
な、なんと普通に大人向けの講座のようです。特に幼児向けのクラスは普通に絵画鑑賞ではありませんか。小学生向けのものは私自身がむしろ参加したい。恐るべしフランスの美術教育。
で、実際に参加していた子どもたちの様子を観察していたんですが、美術館の説明係のスタッフと学童の先生とおぼしき大人に連れられ、10人ぐらいの子どもたちが、手をつないで美術館の中で話を聞いていました。ちょうど、中世の宗教画のコレクションの展示室で一緒になったので、どんな説明をしているのかなあと、少し離れたところで聞き耳を立ててみました(怪しい大人(笑))子どもたちが鑑賞していたのはこの絵です。
「この絵には何の動物がいるかなあ?」と係の人が問いかけると「犬!」「ニワトリ!」などと子どもたちが元気に答えていました。なるほど~、絵の技法なんかの話ではもちろん退屈してしまうでしょうから、動物が描かれているところを見せたりして子どもたちの興味を引くんですね。残念ながら印象派の絵の部屋では一緒にならなかったのですが、きっとテーマの「絵に描かれた子ども」を探すように促して絵に親しむ機会を作るのだろうなと思いました。
また、子どもたちのマナーも非常によく、おそらく日本の年中~年長さんの子どもたちが、お行儀よくちゃんと座って先生の話を聞いていてとても関心しました。たくさんの大人が普通に絵画鑑賞をする場に連れていき、ここは静かに絵を見る場所だということも同時に学習しているのかもしれません。
ところで、このマルモッタン美術館に行った理由は実は翌日、次男が学童での訪問が予定されていたこともあり、どんなことを体験するのかと下見に行ったのでした。ところが、当日なぜかうちの子は連れて行ってもらえなかったようで・・・。「お外に行きたい子!」という問いかけにこたえられなかったのか?はたまた、事前に申しこみが必要だったのか?どちらかというと学童で遊ぶことではなく、「お出かけできるよ~」ということを餌にしてソントルに入れたこともあり、子どもから行けなかったという話を聞いたときは思わず冷や汗をかきました。
このブログを書いている当日はパリのオペラ座見学が予定されているので、2日前から学童の先生に「うちの子は行きたいと言っている」と猛アピールしました。はてさて、子どもが帰ってきたときになんというか、今からハラハラドキドキです。